木村秋則に関する本とDVD

これも某友人からの借り物。

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

一昨日ちょっと、足を捻ってしまったので、おとなしく、昨日はこれらを見ていた。
木村氏は岩木町(現弘前市)の農家。一方、私は、岩木町にほど近い、弘前市城西団地出身。出身小学校の裏はりんご畑。そんな私としては、なんとも身近に感じた。

貸してくれた某友人は、彼は優秀なエンジニアのようだと言っていたが、確かに私も同様の印象を抱いた。
彼はの思考や問題への対処法は、理論的だが必ずしも科学的ではない。工学的であって理学的ではない、とも言えようか。問題に対処するには、彼はもの凄く勉強する。色々測定し、科学的な手法も使う。でも、それは、問題解決のためであり、科学的な手法は手段に過ぎない。
こういうのは、一歩間違うと、オカルトに行っちゃうけど、彼は賢明にも、判らないものは判らないものとして、踏み留まっているようだ。

実は、今迄、どうも一部の有機栽培を信奉している人や、有機栽培の意義について、私は懐疑的で、木村氏の話を初めて聞いたときも(彼の栽培方法は、有機栽培に似ているけれど、有機栽培ではないが)、やや懐疑的だったのだが、この本やDVDを見て、すこし考えを改めた。

有機栽培の信奉者には、それが安全だとか、地球にやさしい、などといったことを、ことさら強調する人がいるけれど、現実問題として、有機栽培は金も手間もかかるし、エネルギーが必要な場合も少なくない。なにより、有機栽培で育てた食物だけでは、現在の地球の人口を維持できない。
そんな理由で、個人的には有機栽培自体にも、少々懐疑的だった。
しかし、彼の(酢以外)無農薬、無肥料の栽培方法を見て、「ああ、これが、真の持続的な農法なんだな。」と合点がいった。彼の農法では、空気中から窒素と炭素を固定するだけで、それ以外の外部からの物質の移送がほとんどない。エネルギーも太陽光由来のもの以外は、ほとんど使わない。ロハス、そして本来の意味でエコ。彼の農法はエコシステムをキチンと確立するところがミソのようだ。

正直、彼の農法は、時代の2歩ぐらい先を行ってるように思う。今の地球人口を考えると、今、急に、全ての農地で彼の農法を採用したら、多数の餓死者がでそうだ。けれど、逆に、人類が生き長らえるためには、人工光合成で、糖を安価に大量生産できるテクノロジが開発されない限り、彼のような農法を採用せざるをえないし、また、その農法で維持できる程度の地球人口へと調整されなければならないんだろうなぁ、とも思った。