SOULNOTE & PMCでハイレゾロックを聴き倒す!

ちょっと前のことではあるが、最近話題の、Soulnote と言うオーディオブランドの機器でハイレゾ音源のロックを聞こうというお茶の水オーディオユニオンでのインストアイベントに行ってみた。

online.stereosound.co.jp
このSoulnoteは、CSRという、(D&Mホールディングス以前の)旧マランツの無線部門を源流に持つメーカーに旧NECのオーディオ部門の人材が加わってできたブランドらしい。特に音の「鮮度」を重視し、そのためにNon Over Sampling(NOS), No NFB といったフィードバック系を排除した技術を特徴としている。関連して、機械的な部分も比較的自由に動かし、ダンプをなるべくしない、といった特徴もある。こう書くとオーディオにありがちなトンデモかと思われるかもしれないが、facebookに連載されている、設計者の加藤さんという方の話を見るとそうでは(も?)なく、一応、正統的な理論は押さえつつ、その上で新たな仮説(主に時間領域重視)を立て、設計しているようだ。

https://www.facebook.com/soulnote2nd/

特に今回のシステムのDAC(D-2)はデフォルトがNOSかつアナログフィルタレスというかなり異端な仕様なのだけれど、ちゃんと検証した上でそのような仕様にしているそうだ。DACナイキスト周波数以上に現れるエイリアスノイズは、聴感上も電磁波ノイズ的にも問題なく、こちらの方が音(の鮮度)が明らかによい、とのこと。(視聴会でも実演してた。)
時間領域(タイムドメイン)が重要というのは、最近、あちこちで言われてることではあるけれど、アプローチが各社各様で面白い。イギリスのChordやMQAなんかも、自社の技術を語るとき、人間の聴覚の時間分解能は、、、ってあたりから話を始めるんだけど、その後のアプローチがまるで違うw
さて、イベントの音の方だが、確かに鮮度感はすごい。いわゆるハイエンドオーディオの美音系とは違い、音源によっては荒々しくも聞こえるものの、音の立ち上がりが鋭く、曇った感じが一切ない。ただ、「生々しい」、とはちょっと違うかな?とも感じた。映像に例えると、スポーツのライブ放送の荒いところもあるけど、とにかくハッキリシャッキリした絵のような印象を受けた。
あと、これはスピーカーの特性もあるだろうけど、低音のキレがめちゃめちゃ良かった。スパッと立ち上がってスパッとたち下がる。共鳴で量感を出した音ではない。この試聴会のようなロックには向いてると思う。スピーカの口径はそれほど大きくないので、重低音まで出てるという感じではなかったけど、個人的には無理に低域を伸ばした音よりも好みではあった。
次に、印象的だったのは(ハイレゾじゃなく)CDクオリティのデジタル信号をこのシステムで再生した場合、CD再生でよく感じる、高域の詰まった感じがほとんどないこと。これは、私の使ってるユニバーサルプレーヤのUDP-205(今回試聴したシステムとDACチップは同じ)でもその傾向はあるのだけど、NOSのこちらのシステムの方がずっとその傾向が強い。
しかし、鮮度感というのは、物理的にはどういう現象なのだろう?スルーレートの良さ?20kHz以上の適度の信号がもたらすもの?(ハイパーソニックエフェクト的には、可聴域以上の音がなっていることが重要で、周波数はあまり関係なさそうだし。)このシステムはデジタルフィルターなし、アナログフィルターなしなので、可聴域外にはそれなりにノイズが乗っているはずなので、ある意味ニセレゾ的な信号になってるよなぁ、とも思った。それに、この音はある意味人間にとって心地よい音だけれど、「正しい音」なのかもよく分からなかったのが、正直なところ。
大変特徴的かつ興味深い音のするシステムで、なかなか良いとは思ったものの、特徴的過ぎて万能とは言い難かった(もっとも、DACのデジタルフィルタをオンにすると割と一般的な美音系ではあったけど)のと、使いこなしが難しそうだったので、たとえお金があっても、残念ながらこのシステム(特にDACのD-2)は買えないだろうな、とも思った。似たような価格帯なら、Mytek / Manhattan DAC IIの方が無難かなぁ、ともw(ヘッドホンアンプとしても使えるし。)
ともあれ、内容的にはとても興味深いイベントだった。ビーチボーイズハイレゾなんて、こんな機会でもないと聞かなかったと思う。

Soulnoteの音は刺さる人にはすごく刺さると思うので、その筋の方には、機会があったら、聞いてみるのをお勧めします。