石田徹也−僕たちの自画像−展

妻が行きたいとのことだったので、中村橋の練馬区立美術館の石田徹也−僕たちの自画像−展へ。ここに来るのも久しぶりだ。
初期の作品は、表現はやや過激なものの、どことなくユーモラスだ。だが、2000年を過ぎた辺りから、死と再生、いや、死の匂いが濃密になる。晩年の作品は静かな美しさを湛えつつも、精神の不安定さが画面にストレートに表われている。ただ、不思議と、精神の不安定さを感じつつも、表現は非常に完成度が高く安定している。

そんなわけで、すごく才能のある人だと思ったが、「彼が生きていれば...」という仮定は無意味であることを痛感した。

彼の絵の不条理(エロ、グロ、ナンセンス?)なところに、私は、吾妻ひでおに通じるものをなんとなく感じたのだが(私だけ?)、吾妻ひでおと決定的な違いは、そこにあると感じた。彼は、あれ以上生きられなかったんだろう。そう思わざるをえなかった。