若しくは、暴力温泉芸者ワルツは思い出ワルツ

先日( id:tearus:20041024 )、あのようなことを書いたら、無性に温泉行きたくなった。が、まだ傷が完治してないので、よしておいたほうがいいかと思い、おとなしくしている。
そこで、温泉行けないかわりに、温泉についてさらに考えてみた。
まずは、公共温泉の問題。公共温泉が旧来の温泉旅館を圧迫している、というのは、まぁそういう面もあるのかな。でも全ての人が温泉旅館に行けるわけでもない。日常的に気楽に行ける温泉というのは、やはり多くの人にとって嬉しいものだし、それこそ豊かな生活というものだろう。その地域全体の健康増進効果もある程度見込めるだろう*1
結局、経営と運営がしっかりしていれば良しとすべきだろう。ただ、箱物行政の延長で税金たれ流しでやられたら、やっぱりたまらんが。経営のプロを経営者に据えにくい第三セクターでは、経営という点で問題も多いのかも。
一方で、旧来の温泉旅館は、公共温泉のおかげで温泉人口の裾野が広がっているはずだから、うまくやればやっていけるのかもな、と思う。素人考えだけど。付加価値を付け(それはお湯自体でなくても構わない)、積極的なマーケティングを行い、その増えた温泉人口のいくらかでも呼び込む手があるはずだ。本当に特色があって商品価値の高い温泉であれば明らかに生き残りの道もある。これは、温泉教授も湯布院や黒川温泉の例で指摘している。あとは、無情なようだが市場原理に任せることになるのが今の世の流れだろう。ましてや、温泉法上も温泉と呼べるかギリギリの温泉は滅びてもしようがないとも思う。そこに暮す人には非情な意見だけれど。
次は、塩素と循環濾過の問題。塩素のことを知らべたら幾つかおもしろいサイトをみつけた。
まずは温泉じゃないけど、水商売ウォッチング( http://atom11.phys.ocha.ac.jp/index.html )。
水には身近なものだけに、消費者に過剰な不安と期待をあおる擬似科学的な宣伝文句で売りつけようとするものが多いことがよく判る。
温泉も似たような構造にあるような感じだ。代表的な例が、温泉教授も関連しているここ( http://www.onsen-r.co.jp/ )。研究所なんて名前なので、さぞ科学的なことをしているのかなと思いきや、「塩素殺菌した温泉水のORP評価に基づく泉質変化」なんて研究をしている。塩素殺菌による酸化還元電位(ORP)の変化を問題にしているようだ。しかし、ここで言っているORPって、どういう定義で、どうやって計ってるものなのだろう?電位差は水溶液のイオンの量と種類と、電極になにを使ってるかによって決まるものだったような。とすると、元の温泉のある程度定量的な成分分析値が判らないと何を測っているのか、わけわかんなくなると思うんだけど(化学はすっかり忘れてるので、自信なし)。彼ら自身も

2.酸化系となったお湯は本来、温泉に期待されていた状態とは異なるため、皮膚に及ぼす影響も懸念される。
( http://www.onsen-r.co.jp/newsrelease/04.09.12.html )

と言っていて、ORPが変化したから、人体にとってどうなの?ってところまではぜんぜん踏み込んでいない。
上の水商売ウォッチングをちらちら見ると、水商売方面でもORPは重要な指標のよう。同じ穴のムジナじゃないかと偏見を抱きたくなる。
ところで、http://www.jyousuiki.com/ensonogai.htm なんてページをたまたま見付けたのだけれど、これって、温泉教授が引用している内容とかなり重複しているのが、また、趣き深い。
ところで、あなたが多少科学の知識をお持ちで、時間もあるようななら、ここ( http://www.tacmina.co.jp/oyakudati/yougo_hourei/legio.html )も見て欲しい。企業の宣伝ページなんだけれど、特にこのページ( http://www.tacmina.co.jp/oyakudati/yougo_hourei/legio/method.html )では、各種殺菌方法の調書短所が簡潔に纏められている。
また、直接、塩素殺菌についてはふれられていないけれど、立ち寄り温泉みしゅらん( http://www.asahi-net.or.jp/~ue3t-cb/ )の温泉の科学( http://www.asahi-net.or.jp/~ue3t-cb/bbs/special/sience_of_hotspring/sience_of_hotspring_index.htm )はとても勉強になる。こんなすごい文章を良くタダで公開しているものだと思う。
ってなわけで、塩素殺菌は、塩素に敏感な人にとっては問題だとしても、明確に科学的に問題があるかどうかは、ちょっと調べただけでは分らなかった。まぁ、調べた範囲では、塩素殺菌が適切に行われている限りにおいては、多くの人にとってはさほど問題にはならないんじゃないかな?という印象(確証なし)。泉質に対する影響も、泉質によっては、化学反応が起こるし、薄い温泉なら塩素系殺菌剤の成分も無視できないのかもしれない。しかし、効能にまで明確な影響が出るとは、温泉の効能の多くがその無機イオンに由来するとすれば、塩素系薬剤の添加量の少なさからいって、あまりなさそう。あとは、入浴する人が塩素臭と肌触りの変化を気にするかどうか、という主観的問題に帰着すると思う。(トリハロメタン問題もあるようだけど。)温泉通の人は間違いなく気にするだろう。でも一般の人はどうだろう?安全のほうを優先するんじゃないかな?
一方、循環の是非については、軽く調べただけではよくわからない。確かにガス成分の豊富な温泉は循環させると大分肌触りは変るんで、循環すると台無し、ってこともありそう。だけど、そうでない温泉も沢山ある。濾過装置で取れない人体由来の有機化合物の問題は大いにありそうだけど、どの程度影響するのかよくわからない。温泉通の方は湯のフレッシュさをよく問題にしているので、それらは知覚可能なものなんだろうな、という気もする。ただ、やはり効能にどれだけ影響するかは、温泉の効能の多くが、その含有する無機イオンに由来するとすれば、やっぱり疑問である。殺菌さえちゃんとできていて、普通の人が知覚できないようなら、問題にするようなこともでもないんだろうな。(このあたり、かなり憶測でもの言ってます。調べらる能力も余裕もないんで。)
ところで、温泉教授はこんなもの( http://www.gomeito.com/ )もやってるようだ。
個人的には、ハンパに商業主義的なところが鼻につかなくもないが、日本温泉総合研究所と違って、温泉文化論の先生としてはこっちがより本業に近いだろう。どんどんやってもらって温泉振興に役立てて欲しいと思う。情報開示もそれなりにしているようだし*2
あと、温泉教授に影響を受けたと思われるこんなページ( http://www.kakenagashi.net/ )も見つけた。この方は非常に真面目に温泉に接しているようで、たまに温泉行くだけの私がこのような事を申し上げるのもなんなのだが、温泉教授の言うことを真に受けるのは多分に問題があると思う。
(例えば、 http://www.kakenagashi.net/cgi-bin/control/mt-tb.cgi/106 ) このような温泉教授の言動の矛盾は、私にとっては何ら不思議ではい。温泉ゼミナールを読んだ限りでは、彼の意見はむしろ最初から矛盾を含む。彼は人並外れた温泉マニアではあるが、彼の言動はやや客観性とバランスに欠ける。彼の著書を読む時は注意が必要。それだけは押さえておく必要があるだろう。

*1:私が以前石川県に住んでいた時は、その近く公共温泉に毎日のように通っていた。朝から晩まで、コンピューターの前にいるような生活だったけど、肩凝りもなく、風邪一つひかなかった。まぁ、それが温泉のおかげなのか、田舎で他にすることもなく、規則正しい生活をしていたためかは判らないけれど。

*2:その後、いくつかネットから情報を得たけれど、さすがに情報開示の重要性を説く人(専門家も)は多いようだ。ただ、情報開示には、既得権の問題など、いろいろ問題もあるようだけど。。。