おくりびと

あの小山薫堂氏が脚本ということで興味を持ち、またユナイテッド・シネマとしまえんへ。
小山氏が脚本ということで、予想とおり、素材(納棺師)は重いものの、テーマは普遍的で重すぎない。ストーリも判りやすくできているんで、たしかに欧米で受けてもおかしくないなぁ、という印象。映像も、酒田の風景なんだけど、どことなくヨーロッパ映画っぽい。
本木雅弘ヒロスエの夫婦役も、思ったよりハマっていた。あと、余貴美子も意外に。
主人公が元チェロ奏者という設定もあり、音楽が重要な役割りをしている映画だったけど、映画館の音響システムが「音楽」向きでなかったのが、ちょっと残念かな。これだと、質の良いホームシアタで見たほうが良かったかもしれない。
あと、小山氏脚本なら、食べモノをもっと美味しそうに撮ってくれてもよかったのに、とか思ったり。

盛大にお涙頂戴的な映画ではない。わりと淡々としている。お芸術なヨーロッパ映画のような、人間の存在の深い闇やその小ささに、絶望とほんの少しの希望を与えてくれるようなものでもない。

でも、死を、タブー視することで見えなくなったことに気付かせてくれたり、良い意味で生と死を身近に感じさせてくれたりする点で、良い映画だと思う。