Open Source Way 2004 2日目

で、気が向いたので Open Source Way 2004 2日目「知的財産権オープンソース」について書く。
各講演内容については、ほぼアジェンダ通りだった。
http://osdn.jp/event/osway2004/agenda2.shtml
意外に参加者が多かった。100人は越えていたような。。。

全体的な内容については、既に幾つかのニュースサイトに記事がある。内容が知りたいのであれば、私のダイアリーではなく、こっちをどうぞ。私のダイアリーには、私的な感想しか書かないので。

  1. http://japan.linux.com/opensource/04/12/01/1531248.shtml?topic=1
  2. http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/NEWS/20041201/153359/
  3. http://pcweb.mycom.co.jp/articles/2004/12/03/internetweek1/

オープンソースにおける定義とライセンスの重要性」 / 八田真行氏
はわりと落ち着いた内容。そのかわり新鮮味も少なかったけど、オープニングなので、確かにこの程度に留めておくべきか。オープンソースを批判するにせよ擁護するにせよ理解してからにすべきとの意見は全くその通りで。オープンソースも経済合理性と反するものでもないというのも全くその通りで。でも、一部過剰に理念先行型の人が居て、ややこしや〜。

マイクロソフトオープンソース」 / 平野高志氏
基本的にマイクロソフトの立場の説明という感じで、特に「知的財産権の補償」*1については、宣伝臭かったけど、

商用の世界とオープン・ソースの世界とを知的財産権によって連携することが必要である。

との主張は、真っ当かと。マイクロソフトの近年の特許重視の姿勢も、この立場をサポートするし。
既にオープンソースと共存せざるを得ない段階にあることは、マイクロソフトの共通認識のようだ。
あと、経済産業省の人のアンチマイクロソフトな発言への苦言も忘れていなかった。:-)

オープンソースプロジェクトマネージメント」 / 野首貴嗣氏
私は経験ないけど、プロジェクトが大きくなるとやっぱ大変やねぇ。結局、人、コミュニティ、コミュニケーションが重要。会社とかわらん。コミュニケーション能力が低い人はコーディング能力が高くてもやっぱ難しいんだろうなぁ。

ソフトウェア特許の過去、現在、未来」 / 今野浩
個人的にこの日のハイライト。さすが大学の先生、話(話術?)が面白い。ソフトウェア特許、特に米国の状況については、氏はよく調べられていて、私も知らない話もでた。しかし氏の

知財保護強化は基本的には正しい戦略

だけど

ソフトウェア特許は例外

というのは、どこまで通用するかな?現行の特許法がソフトウェアと相性が悪いことも、アルゴリズムを特許で保護することの弊害はまったく私も同意するのだけれど。特許の薮の弊害とかね。
あと、これは一応指摘しておくけど、日本の特許庁が何でもアメリカ追従かというと、そうでもないと思う。話題に出たハブアンドスポークは日本では審査・審判段階では、拒絶になってるからね。
あと、ソフトウェア特許の未来についてもっと語ってほしかった。

「ソフトウェア等の提供者の法的責任 〜ファイルローグ事件Winny事件を題材に〜」 / 小倉秀夫
淡々と法的な説明をしていたので、多くの聴衆には辛かったんじゃないだろうか?私は法的な点にある程度知識があるので判りやすかったけど。
「幇助」の問題とか、利用者のトレーサビリティの喪失が利用者を「図に乗らせる」ことに繋がっているという指摘はその通りで。でも、現実に我々は何をなすべきなのかねぇ? 私にはまだよくわからない。

クリエイティブ・コモンズ、ライセンス解説」/ 福島直央氏
クリエイティブ・コモンズレッシグの名前は知ってても、具体的にどういうものか、まるで知らなかったので勉強になった。コモンズ証、ライセンス、RDFコードの三層構造は非常に面白い。非常にクレバーなアイディアだ。しかし、どこまで広がるのか(特に日本で)は、福島氏もまだビジョンを持っていないようだし、私も良く判らない。質疑応答で出た氏の日本のオタクカルチャーへの言及は面白かったかも。
とりあえず、なっちには早急にクリエイティブ・コモンズの広告塔として活動して欲しい。歌詞のフレーズサンプリングを許す枠組み、欲しいでしょ?->なっち

*1:マイクロソフト製品のユーザに、知的財産権について損害が生じた場合、上限のない補償をするというもの。もちろん対象等いろいろ制限はあるが、他者に比べたらかなり制度としてはかなり充実している。